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明日はどっちだ?
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UNCHAIN DAYS 旅の終わり?いいや、始まり。

ジェームズ•ナクトウェイの戦場の写真の夢を見た。
あまりにもリアルで、ベトコンのトラップに嵌って体が真っ二つになるところで目が覚めた。

ホステルの一階へ。

やはりバイクは無いね。







あぁ〜、とか、おぉ〜、とか体の中からなんかが抜けていった。

同時に、日本に帰れるね、なんて思っていた。

ホステルのスタッフのビクトリアが声をかけてきた。

「どうした、ブレイブマン。元気ねえな。ロシア越えの話を聴かせろよ」

「あんな、兄弟。わしのバイク、、、盗まれたくさいわ。」

「……落ち着け、落ち着こう。コーヒー飲むか?飲むな?ちょっと待ってろ」

ビクトリアは砂糖と牛乳のがんがん入ったイングリッシュコーヒーを持ってきて、すぐに踵を返した。

早口の英語で誰かと電話している。

「インシュランスはあるか?」
日本の物なら、と。
「レジスタレーションは?」
登録証書を出した。

「警察に電話した。今日は日曜だから明日行ってこい。その辺の奴がイタズラで持って行っただけかもしらん。」

ありがとう、と伝えると「ドイタマシテ。」と返ってきた。

別なスタッフが慌てておりて来て、寝癖だらけの頭で「おい、あんたのバイク昨日黒人五人がトラックに乗っけて行ったぞ!」

ビクトリアが「もうポリスに伝えたさ。もうちょっと早く起きてこいよ…」と。

どうやらイタズラだけじゃすまないようだ。

朝はカールと約束していた。カールに電話でそれを伝えると「シッティンアスホール!!!なんで俺の国でそんな…とにかく今日はわかった、ゆっくり休め!近々会おう!」

なんというか、気の抜けたコーラだ。きっとそんな顔をして居ただろう。どんな顔だったのかな。

日本のみんなはガッカリしただろうに。おれはまだ事態を呑み込めないままだった。

昼からはクレアと約束して居たので、ニュークロスと反対側の街へ。バスを三台も乗り継いだ。なんてことだ、バイクなら30分のところだぞ?
着いた所で、夕方近くになってしまった。全く土地勘の無い国、しかも小さな入り組んだ街でバスに乗っていくなんて、こんがらがった頭は余計にこんがらがっていった。

一つ決めたことは日本に帰ろう、そればかりだ。出汁の効いたうどんに、豚骨ラーメンに、日本酒だ。

クレアは知っていた。何故なら私はfacebookに覚束無い頭でstolen my motorbikeとだけ書いていたからだ。
彼女もなんて声をかけたらいいかわからなかったろう。とりあえずウマさんに電話をしてくれた。

電話を代わって、ウマさんの声を聞いた瞬間泣き出しそうになった。ウマさんだけじゃなくあのオートバイで廻った世界中の友人たちの声を聞いた気がしたからだ。

クレアは「暫く、ロンドンに住んでみたらどう?」と言ってくれたが、とてもじゃないがそんな気持ちになれなく、考えさせてくれとだけ言い放った。

「とにかく、ニュークロスを出なさいな。ゆっくり考えて見たら?」

住む事は念頭になくとも、考える事は重要で。考えるって何を?続けるか辞めるかを。

日本の友人からはTwitterやらEメールやらを沢山頂いた。
愉しませてもらった御礼にカンパさせて欲しいなんて言葉も頂いたが、そんな事をしてもらおう物なら、皆に顔向け出来ないからだ。

ダーレンにも連絡。とても悔しがっていた。ebayでもしバイク探すなら一緒に手伝うよと。詳しく聞いたらイギリスでオートバイを買うのは面倒なようだ。買えた処でヨーロッパはおろか、出国為るのはとても難儀なようだ。

翌日、警察署へ。
ポリスレポートだけ受け取ればいいとビクトリアが言っていた。
処が担当は早口なイングリッシュおばはん。ああうあうあうと拙い英語で内容を伝えたら、「インシュランス」と。
日本の物を出すと「これじゃない、グレートブリテンのものを」と。
そんな物、国境で聴かれなかったし持ってないよと。

「インシュランスなしで運転するのは違反容疑。奥へ来なさい」

長々説教と取り調べ。八時間近く拘束されてあたまんなかはぐちゃぐちゃだ。ポリスレポートはなんとか頂いた。

英雄扱いされたイングランドでどん底に。ここまで落ちたら後は這い上がるだけじゃないかと強がったがだめだ、力がでねえ。

その夜はビールを飲んでぼんやりしてた。横で黒人がなんか話しかけてくるが、無視。イギリスの黒人は大っ嫌いだ、こいつが犯人じゃないにしろ、目も合わせたくない。

「you speak english?」

英語圏の奴らはこれを最初に云う。最低な言葉だ。まるで、英語も話せねえなんて馬鹿野郎だなと詰る様な言葉。

頭にきたわたしは「うせろ、てめーらの仲間がおれのバイク盗んだんだよ、ファ○クオフ」と下品極まりない言葉を返してしまった。
心が荒めば荒むほどなんでもどうでもどうにでもって。黒人五人に囲まれた。やれよ、オラ。リンチにしやがれ。まだ痛いって感覚があるならマシだ。

ビクトリアが仲裁に「まーまー、兄さん方、落ち着きなさいな。ほれブレイブマン、チルアウトだ、外で一服するぜ、行こうよ」

外に連れ出された私。「だめだよ、彼奴らお前さん殺した処でなんとも思わねえ奴らだよ。気持ちは判るが落ち着けよ。」私はというと、彼奴ら許さねえ、不愉快な連中だとかぼやいていた。

「今日は寝ろ。明日チェックアウトだろ。早く此処をでるべきだ。」

私もそう思った。ActonTownという街のホステルを予約していた。

翌朝早めにチェックアウトを済まし地下鉄へ。なんて重い荷物だ。あいつは、ロシアからこんなものを背負って乗ってきたんだな。あぁ、ヘルメット嵩張るなあ、いっそ被っちまうか。

乗り継ぎをひーこら。宿に着くとイングリッシュパブ。あのー、ここホステルだよね?と訪ねたら、「おぉー、待っていたよ。さあ上に上がりな。今はイラン人とイタリア人四人が居る。ジャパンは初めてだよ、ははは」フレンドリーに出迎えられた。

部屋は綺麗だ。同室のイランの兄貴ホピ(ほんまにこんな名前)とイタリア人ロザリオが居た。ロザリオはまだ来て三週間で英語が難しいと嘆いていた。

ホピが「バイクできたのか?すげえな。バイクはどこだい?」

盗まれた。それだけ伝えた

「お前さん、ロンドンは好きか?」

嫌いだ。でも友達は好きだ。

「オレは大っ嫌いだ。こんな街。オレは仕事で仕方なく居る。観光にくる奴ら、夢を求めにくる奴らの気持ちはわからない。」

その通りだ。

「ビール飲むぞ。おいロザリオ、お前もだ」

ロザリオが「マンマミーヤ!」と大声あげた。あぁ、こやつ、本当にイタリア人なんだな。

下のビヤホールで散々呑んだ。沢山馬鹿話をした。私は英語は話せなかったが、旅をしながら覚えた。言葉を学ぶんじゃない、会話をする事で覚えるんだ。是非とも、みんな旅に出て欲しいと思う。言葉がわからないからとか尻込みする必要はない。気持ちなら、必ず伝わるからだ。

一つ決めた事があった、旅を続けよう、と。

どうやって?私はオートバイ以外では旅をしたくない。オートバイの旅だからこそ初めて世界と繋がったからだ。ガイドブックなんて必要はない。ただ走るだけが全てだからだ。

そうだ、アメリカでバイク買って中南米走り切った日本人が居たな。決まりだ。

しかし、アメリカは冬だ。なんなら、アルゼンチンからスタートだ。

私はすぐにアルゼンチン行きのチケットを買った。カールにも会ってその旨伝えるととても喜んでいた。

ここからがスタート。新しい大陸に向かった。これにて、ユーラシア、グレートブリテン編を終えようと思う。






※書きながら自分でも消化できたんだと思った。次回から南米編。今に追いつきます。





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起こり得る事が、起きて居たのか!
起こり得る事が、起きて居たのか!

バイク盗まれていたのか!
昨年10月末以来ブログ更新のテンポがギコチナイなーと感じていたが、やはりやられたのか、命から二番めの愛車盗難、残念な事でした。
通信機の故障も残念。

盗難、このような大冒険旅行なのだ、これ位のトラブルは日常的に起こり得る事件ではないか。想定内の事ですよ。
トラブルを乗り越えてこその冒険なのだ。

シベリアの原始林の中でキャンプ中に熊や狼、そして悪人に襲われる事も、15君は勿論だが、爺婆の想定の中にもあったのだから、それを思いば、軽いトラブルではないか。

チョット腐ったけど、すぐにスイッチ・チェンジ。

2011年12月末 Vina del mar からの更新を見て、やや飛躍!、やや違和感があった。

飛行機、それとも船、で移動? 

それから、南米で新バイクを手に入れたのだろうか。
南米最南端フェゴ島に向かっているようだが、それからの経緯を年月日を入れて記述して下さい。

本文に、もっと、随所に、年月日が入っていると読者の理解が明快になります。
君のブログを楽しみにしている応援閲覧者が大勢います。
宜しくね。

勇敢に、安全に、旅を続けて下さい。

niigata jii ba
2012.01.28  16:07  Posted by niigatajiiba | Edit
無題
コメントありがとうございます。

色々書くのが腑に落ちなくて、今に至ります。
どうにかこうにかウスアイア到達後、消化出来たので書く事が出来ました。

年月日、はあまりつけたくないのです(変なリアリティが出るのはいや)が、どうにもタイムラグが出てきたのでこれからはなるべくつける様にしますね。
2012.01.29  09:30  Posted by 15 | Edit
早速の応答ありがとう
多忙な中、早速の応答ありがとう。

君の母さんからの示唆があり、遅ればせながら、山田達也氏の ブログ(WORLD DREME TOURING )を閲覧しました。完成度の高いブログですね。
山田達也氏にはウラジオで会っているんだね。
南米最南端 ウシュアイア でまさに奇跡的な邂逅だね、このような、その道のベテランとの深いご縁を大切にして下さい。
君のバイク盗難の件、めげずに南米に飛んだ君の根性に一目置いたことが記されているね。

2012/1/18 の夜の再会の写真、本当に嬉しそうだね。良かった。

2012/1/21先にウシュアイアを立つ山田氏が君の宿(上野山荘)に訪れた写真を見て、番号5316は山田さんのバイクだが、君の新バイクは気配はなく、且つ、無惨なiPhoneの姿を見て、残念でした。通信機の復旧を祈ります。

山田さんのブログでウシュアイアの街の様子、ビーグル水道の様子、そしてパタゴニアの太古の儘の素晴らしい自然の中の道中風景よくわかりました。

さて、山田さんのブログには落ち度なく総て年月日時分が記されています。明快です。
旅行記は詩ではありませんので、読者は時系列が明快でないと、納得度が低くなりアクセス数も低下します。
公開ブログは自分のものでもあり、多数の閲覧者のものでもあります。
これは爺のつぶやきです、気にしないで、自己流でやって下さい。

恙なき旅を祈る
niigata jii ba
2012.01.29  17:10  Posted by niigatajiiba | Edit
苦言をどうもありがとうございます。
そのような内容は、出来れば直接Eメール等頂けたら有難いです。此処で他者と比べるのはあまりに軽率な事ではないでしょうか。
2012.01.29  23:07  Posted by 15 | Edit
盗人ってやつは・・・
いつも面白おかしく読ませて頂いてます。
更新されないのでどうしたのかなぁと思っていたら盗難ですか・・・
ほんと、救いようのないろくでなしはどこにでもいるものですね。
だけど大西洋を渡って南米とは驚きでした。
南米バイクの旅ってチェ・ゲバラですよ。
良いお道を願っております。
2012.02.06  00:36  Posted by A10 | Edit
やり残し感について
生と死が皮一枚まで切迫した時に
画家は優れた絵が書ける とか

今回の旅で 生死の狭間を何度か体験したことで
15の作品ににじみ出てくる何かが 
すごく楽しみです

老婆心ながら 一つの考え方として・・
やり残したまま 置いて来るのも
それを取りに戻ろうとする 
エネルギーが出るじゃないか?
終わってしまうと
達成感のブラックホールにはいっちまわないか
と 

そして
絶対に生きて帰ること






2012.02.06  14:57  Posted by ちびまるこ | Edit
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ワールドルンペン
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このたびの災害により、被災または避難された皆様におかれましては、心からお見舞い申し上げます。

1986年生まれ
三年半勤めた建築写真事務所を退社後、
2011年8月27日よりオートバイで大陸に乗り込む。
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